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血液を作り出す造血幹細胞(ぞうけつかん
さいぼう)を移植する方法である造血幹細胞移植は、「骨髄移植」、「末梢血幹細胞移植(まっしょう けつかん さいぼ
ういしょく)」、「臍帯血移植(さいたいけつ いしょく)」、の3つの方法があります。
それではこれら3つの造血幹細胞移植についてくわしくみていきましょう。
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骨髄移植 (こつずい いしょく) |
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骨髄移植の方法は、ドナー(提供者)の骨髄液を腰の骨から採取して、患者さんへ移植する治療法です。骨髄液は点滴により静脈から全身へめぐり、骨髄へと落ち着き、血液を作り始めます。
骨髄移植の「自家骨髄移植」は、患者さんの造血幹細胞を取っておいて、抗がん剤などの治療後にまた体へ戻す移植方法です。この方法は、血液のがん以外にも、抗がん剤治療(化学療法)や放射線療法をする前に行われることがあります。
骨髄移植でも、他の人(ドナー)から骨髄をもらう「同種移植」を行うには、白血球の「リンパ球の型(HLA)」が合わないといけません。
HLAは、「ヒト白血球型抗原(ヒト主要組織適合性抗原)」の略で、免疫機能により、自分と自分でないものを識別する目印となります。ですのでHLAが一致しないものは全て異物とされ、拒絶反応が起こるので、骨髄移植はこのHLAが適合しないと移植はできません。
HLA型は、兄弟や姉妹では 4分の1の確率で適合します。しかし、まったくの赤の他の人では、数百人から数万人に1人という確率となってしまいます。
血縁者にドナーが見つからない場合は、骨髄バンクに登録します。骨髄バンクは血縁関係のない患者さんとドナーの仲人役を果たします。ただ、ドナーの数はまだまだ不足しているというのが現状です。
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末梢血幹細胞移植 |
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(まっしょうけつかんさいぼういしょく) |
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末梢血幹細胞移植には、自分の幹細胞を使う「自家末梢血幹細胞移植」と、他の人の幹細胞を使う「同種血幹細胞移植」があります。
末梢血幹細胞移植は、全身麻酔を必要としないということ、そして骨髄移植より移植後の造血の回復が早いというメリットがあります。また、自家移植では、ほとんどの場合、この末梢血幹細胞移植が行われています。
自家末梢血幹細胞移植とは、薬(G-CSFなど)を投与することで、一時的に末梢血(静脈血)にあらわれる幹細胞を、肘(ひじ)の静脈などから取って、骨髄と同じように移植する方法です。
同種末梢血幹細胞移植とは、健康な人に薬(G-CSFなど)を注射して、幹細胞が多くなってきたときに採取し、患者さんへと移植する方法です。もちろん、この方法を行う場合は、幹細胞を提供する人(ドナー)と患者さんのHLA型が同じである必要があります。
幹細胞を提供する人(ドナー)に薬を注射する必要があるので、副作用の問題があります。副作用は、骨の痛みや、血液が固まりやすい状態となることでの心筋梗塞・脳梗塞などの危険性があります。
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臍帯血移植(さいたいけついしょく) |
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臍帯血移植とは、臍帯血(へその緒の中の血液)を使う移植方法です。
出産後のへその緒や胎盤(たいばん)には、健康な赤血球、白血球、血小板などの血液を作り出す細胞である「幹細胞」がたくさんあるので、出産の時に母胎胎盤の血液を採取して凍結保存しておき、必要なときにそこから幹細胞を取り出して移植します。
臍帯血移植は、ドナーの負担がほどんどなく、骨髄移植のようにHLA型の適合が必要ではないというメリットがあります。
しかし、移植後の造血の回復が遅いことや、生着不全の確率が高いという問題もあります。
骨髄バンクのように、「臍帯血バンク」というものも存在しています。
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